へバーデン結節

手の第一関節に痛みや腫れ、変形などが見られる疾患にヘバーデン結節があります。
朝の指先のこわばり感など、関節リウマチともよく似た症状を持つ事から、二つの病気をしっかり区別する必要があるでしょう。

当ページでは、ヘバーデン結節の症状・原因、治療方法や予防の仕方、リウマチとの違いについてお話したいと思います。

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手指が痛い!ヘバーデン結節とは?

ヘバーデン結節とは、女性に多く発症する変形性関節症の一種で、指先に痛みや腫れを生じる疾患です。
手指の第一関節に左右対称の変形が見られ、指が曲がってしまうなどします。

1802年に、この病気をはじめて報告した医師ヘバーデン博士(英国)にちなんで、ヘバーデン結節と呼ばれています。
ヘバーデン結節は、指の第一関節(甲側)に骨の変形によるコブ・結節が出来るという特徴を持っています。

また、指に水ぶくれ状の粘液嚢腫(ミューカスシスト)を併発する事があります。
40歳以上の中高年の女性患者が多く、手を酷使する方が掛かりやすい病気と言われています。

ヘバーデン結節を最も発症しやすいのは人差し指で、全体の約8割を占めています。
指の変形の度合いは様々で、必ずしも強い変形が見られるわけではありません。

しかし、指が曲がったまま固まり、伸ばせなくなってしまうなど、深刻な症状を示す事もある病気です。

指の第一関節の腫れや変形?ヘバーデン結節の症状

の第一関節の腫れや変形?ヘバーデン結節の症状

ヘバーデン結節の初期症状は、手指の第一関節のこわばり感です。
次第に指が腫れたり、痛みや変形が起こってきます。

こうした症状は左右対称の指に見られる他、多くの場合、複数の指関節に生じます。
痛みについては、激痛と仰る方もいれば、ずきずき痛む、あるいは鈍痛など感じ方は人それぞれです。

痛み以外にも、指関節が熱を持って赤く腫れたり、結節と呼ばれるコブ状の膨らみが生じます。
これにより、指の曲げ伸ばしがしにくくなる、指先に力が入らないなど、様々な生活上の不自由が起こります。

ヘバーデン結節は指の変形を伴う事から、見た目が気になるとお悩みの方が多くいます。
全ての患者さんに強い変形が生じるとは限りませんが、骨が曲がることで手を広げようとしても、隣の指と触れてしまうほどの変形が見られる事もあります。

また、変形した指を無理に動かそうとすると、乾いた音が鳴る事もあるようです。
その他、指関節にミューカスシストと呼ばれる良性の水泡が出来ることがあります。

ミューカスシストはゼリー状の液が入った粘液嚢胞で、水ぶくれの中から透明の液体が出てきて驚く患者さんもいます。

女性ホルモンが影響?ヘバーデン結節の原因とは

ヘバーデン結節は膝などの変形関節症と同じく、加齢や継続的な関節への負担から、軟骨がすり減ることで起こります。
軟骨の摩耗によってクッション機能が低下すると、骨同士がぶつかり合い炎症や痛みが生じます。

原因は手指の酷使や老化、あるいは遺伝の可能性があると言われていますが、詳しい発症メカニズムは分かっていません。
しかし、患者が更年期以降の女性に多い事から、女性ホルモンの関与が大きいのではないかと考えられています。

女性ホルモン・エストロゲンは、軟骨の新陳代謝や、骨や筋肉を構成するコラーゲンの生成にも関わっています。
つまり、エストロゲンの減少によって、軟骨・筋肉・腱といった関節の周辺組織は劣化し、柔軟性を失ってしまうのです。

また、エストロゲンの減少は身体のむくみを招くため、関節や腱の炎症しやすくなります。
閉経期、妊娠中や出産後の女性にヘバーデン結節が多いのは、体内のエストロゲンが急減し、ホルモンバランスが乱れるからではないかと言われています。

こうしたことから、ヘバーデン結節は更年期障害の一種である、というとらえ方をされることがあります。

リウマチとヘバーデン結節の違い

中高年の女性に多く、こわばりや指の変形を伴うヘバーデン結節。
その症状は、関節リウマチとよく似ています。

自己免疫疾患であるリウマチは、進行すると関節が破壊され、深刻な合併症を引き起こす病気です。
指の変形性関節症であるヘバーデン結節とは、治療法が異なるため、明確に区別する必要があります。

では、関節リウマチとヘバーデン結節には、どのような違いがあるのでしょうか?

第一に挙げられるのが発症部位の違いです。
関節リウマチの多くが指の第二関節に発症するのに対して、ヘバーデン結節は第一関節に発症する疾患です。

朝のこわばりについても、症状が1時間以上続くことが多いリウマチに対して、ヘバーデン結節の場合は短時間で解消する傾向にあります。
また、微熱や倦怠感、指以外の関節痛などはリウマチ特有の症状です。

なお、関節リウマチと同じく、第二関節に発症する指の変形性関節症にブシャール結節という疾患があります。
症状や治療については、ヘバーデン結節と共通ですが、リウマチと発症部位が同じことから注意が必要です。

最終的な判別には血液検査が有効です。
もちろん、ヘバーデン結節やブシャール結節の患者さんには、リウマチ反応は見られません。

ヘバーデン結節の治療方法、病院は何科を受診?

ヘバーデン結節の治療法、病院は何科なのか

指の痛みや、第一関節に結節や変形が見られ、ヘバーデン結節が疑われる場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
または、手の治療のエキスパート・名医である、手外科専門医のいる病院を受診するものオススメです。

病院では問診やレントゲン検査が行われます。
画像診断で、患部の軟骨のすり減りや骨棘が確認でき、膠原病(リウマチ等)など他の疾患が否定される事で、ヘバーデン結節と診断されます。

多くの場合、ヘバーデン結節をはじめとする手指の変形性関節症は、3年程度で症状が治まると言われていす。
そのため、ヘバーデン結節の治療は痛みを緩和し、指関節の変形を食い止める保存療法が中心となります。

テーピングが有効?ヘバーデン結節の装具療法

ヘバーデン結節の治療法は、患部の固定による安静が一般的です。
テーピングや小さな装具でしっかりと指を固定する事で、負担を軽減して安静を保ち、痛みや炎症を和らげることを第一に考えます。

患部のテーピングは、巻いたり外したりが簡単な上、外見上もあまり目立たないという利点があります。
第一関節のテーピングを行った患者の半数以上が、痛みが緩和したと感じており、ヘバーデン結節の症状改善に有効な方法と言えるでしょう。

ヘバーデン結節の理学療法

強い痛みが治まった後は、理学療法が行われます。
電気治療やレーザー治療などにより、患部を温めて血行を促進する事で、ヘバーデン結節の痛みを和らげていきます。

病院では、血流を改善するレーザーや患部を温める効果のあるマイクロ波、神経に作用して痛みを緩和する低周波などが用いられています。
これらの治療によって痛みの軽減の他、関節が固まってしまうのを防止したり、可動域を広げるなどの効果が期待できます。

また、バイブラバスは温浴効果による痛みの緩和だけでなく、マッサージ効果も得られ、関節のこわばりに有効です。
なお、関節の機能低下を防止するためには、こうした温熱療法と併せて、手指を動かす運動療法・リハビリをしっかり行うことも大切です。

ヘバーデン結節の薬物療法と手術療法

急性期の指の痛みに対しては、痛み止め(消炎炎鎮痛剤)、湿布や軟膏などの塗り薬が処方されます。

痛みや腫れが強い場合には、関節内ステロイド注射や神経ブロック注射が行われます。
ステロイド注射は、症状改善に非常に有効ですが、数ヶ月程度の持続性しかなくありません。

こうした治療で十分な効果が見られない時には、関節固定術などの手術が行われる事もあります。
手術適応となるのは、ミューカスシストが生じたケースや、痛みや変形が強く日常生活に支障があるような重症度が高い場合です。

ヘバーデン結節を進行させる食べ物とは?(漢方の考え方)

東洋医学・漢方の考え方では、腎臓の不調がヘバーデン結節など、骨の疾患に影響を与えるとされています。
よって、関節痛の方は腎臓のストレスになることを避けるべきと言えるでしょう。

消化時にビタミンやミネラルを大量に消費するような食べ物の摂取は、ヘバーデン結節の症状を悪化・進行させると言われています。
実際、コーヒーやアルコール、果物を含む甘いものなどを食べて、指関節が赤黒く腫れてしまったという報告があります。

また、漢方薬を服用する事で、ヘバーデン結節の症状の緩和効果に期待が持てます。

整体や鍼・お灸でヘバーデン結節が治る?

ヘバーデン結節は原因がハッキリ分かっておらず、通常は数年で症状が改善する事から対処療法が中心です。
しかしながら、痛みなどが思ったように解消しない、あるいは効果が現れるのに時間が掛かる事があります。

そうした場合に、整体や鍼・お灸などで、辛い痛みや腫れが和らぐケースもあるようです。
身体の歪みの矯正や、ツボの刺激、お灸の温熱効果などによって、筋肉の緊張がほぐれる事で症状が和らぐとされています。

ただし、指の痛みや変形がリウマチなど、専門医の治療が必要な病気でない事を確認しておく必要があります。
まずは整形外科などを受診し、診察を受けるようにましょう。

ヘバーデン結節を自分で改善する方法・予防法

ヘバーデン結節で指の第一関節が痛む場合、安静を心掛けます。
ピアノやギターの演奏など、指先に負担が掛かるような事はなるべく避けるべきです。

ただ、日常生活で指を全く使わないというのは難しいため、患部を固定するテーピングをオススメします。
指の負担を軽減して症状の進行を防いでくれますし、指をよく使う方のヘバーデン結節の予防という意味でも効果的です。

また、温泉やお風呂で手を温めると痛みやこわばりが和らぎます。
指が曲がったままにならないためにも、温めながら手指の運動をしたり、優しくマッサージすると良いでしょう。

食生活に気をつけ、関節や軟骨、筋肉に良い成分をバランスよく摂取することも大切です。
肉や魚など良質なたんぱく質を積極的に摂取し、必要に応じてグルコサミン・コンドロイチンなどのサプリメントを利用するのも良い方法です。

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ヘバーデン結節のまとめ

ヘバーデン結節のまとめ

指の変形性関節症であるヘバーデン結節は、発症原因が不明の疾患です。
痛みもさることながら、手指の変形を伴うため患者さんのお悩みは深刻です。

変形してしまった指を元の状態に戻す事は困難ですから、早めに対処する事が大切になります。
また、指に痛みや変形を生じた場合、リウマチなど別の病気の可能性もあります。

そうした疾患と区別し、適切な治療を受けるためにも、指先に痛みや違和感などを感じた場合は、早めに医療機関で診察を受けましょう。

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